大会長挨拶

第27回日本小切開・鏡視外科学会 学会長

倉内 宣明

(市立函館病院 消化器外科)

謹 啓
 余寒なお厳しき折、皆様におかれましてはご清祥のこととお慶び申し上げます。
 さて、このたび第27回日本小切開・鏡視外科学会を本年8月21日(木)-22日(金)に函館金森ホールにて開催いたします。
 残暑厳しいなか比較的涼しい函館ならびに道南地方をお楽しみいただきつつ、学術集会を実りあるものにするために、どうか多数の方が御発表をお持ちになって御来函いただきますよう心よりお願い申し上げます。
 さて、本学会は研究会発足から27回を数える歴史あるものですが、最近の歴代会長は大学の教授が任に当たられ、そのすばらしい運営により学会を成功に導かれたことを考えますと、地方病院の一外科医である私に与えられた役目は、自ら日々悩みながら手術をしている身分として、日常臨床に役立つ情報の共有ができる場にすることと考えました。そして若手外科医には、学会の主旨に興味を持ち活躍していただくことが必要と痛感する次第です。
 現在隆盛を極める鏡視下手術がAdvanced内視鏡外科手術、完全鏡視下手術、細径鉗子手術、そしてロボット手術などをテーマに語られる中、あらゆる手術に適・不適のあることと最適な術式を「ワンパターン」で決めないことが非常に重要であり、単純に完全鏡視下手術を目指すだけでは多様な病態の患者の最善のアプローチ方法は得られず、限られた医療資源を守ることもままなりません。鏡視下手術施行時の大切開移行のタイミング、大切開を行う前に小切開でできないか、はじめから切開併用の鏡視下手術で行うのか、あるいは小切開のみで行うのがよいか、腹部手術においては内臓肥満体型に吊り上げで行うか気腹で行うかなど、様々な要因を勘案しつつ最善のアプローチ方法を選択できることも重要です。
 つきまして、第27回の学会ではいわゆる「スマート」な術式のみならず、状況に応じて手段を選択できる若手外科医を育成することが本会のみならず外科の発展に不可欠と考え、「手術の多様性を学問する」をテーマとしまして、手術方法のプラットフォーム別(小切開手術、吊り上げ手術、気腹手術、それぞれの組み合わせ)セッションにトラブルシューティングのセッションなども加えましてご議論を賜りたいと存じます。
 皆様におかれましては、特に若手外科医の方々を連れ立って函館に足をお運びいただきたく、重ねて心よりお願い申し上げます。

敬 具